会社員の副業はどう始める?50代・正社員にも現実的な進め方

就業規則と副業計画を机に広げて確認する50代の会社員 副業

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50代会社員の副業は、就業規則を確認し、経験を小さな仕事に変える6手順で始めるのが現実的です。

2025年には厚生労働省の解説資料や実務様式、24社の事例集が整備されましたが、正社員が申告なしで自由に副業できるようになったわけではありません。

この記事の結論は、次の4点です。

  • 2025年に変わった中心は、法律やガイドライン本体ではなく、パンフレットや実務資料の充実
  • 副業を始める前に、就業規則、契約形態、働く時間、秘密保持、税金を確認する
  • 50代は新しいスキルだけで勝負せず、本業経験を具体的な作業へ変える
  • 最初の目標は高額な収入ではなく、生活を崩さず一つの仕事を完了させること

副業を大きな山だと考えると、登る前から足が止まってしまいます。

最初に必要なのは山頂までの地図ではなく、今日歩く数百メートルを決めることです。

2025年の会社員向け副業資料は何が変わった?

2025年の主な動きは、副業・兼業のルールそのものの大改定ではなく、会社と労働者が制度を運用するための資料が増えたことです。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は2018年1月に策定され、2020年9月と2022年7月に改定されました。

2025年3月31日に改定されたのは、ガイドラインの内容を分かりやすくまとめた解説パンフレットです。厚生労働省の公式ページでも、ガイドライン本体は2022年7月8日改定版、パンフレットは2025年3月31日改定版として分けて掲載されています。

年 主な動き 会社員への影響
2018年 ガイドライン策定、モデル就業規則改定 副業を一律禁止する考え方から、条件を確認して認める方向へ
2020年 労働時間管理、健康管理、管理モデルを整理 雇用型副業では本業と副業先の勤務時間の把握が重要に
2022年 企業による副業方針の情報公表を推奨 転職時に会社の副業方針を確認しやすくなった
2025年 パンフレット、様式例、24社の事例集を整備 届出や労使間の確認を実務へ落とし込みやすくなった

2018年のモデル就業規則改定では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、副業・兼業に関する規定が新設されました。

ただし、国のモデル就業規則は各企業がそのまま採用しなければならない規則ではありません。実際に適用されるのは、自分の勤務先が定めた就業規則や労働契約です。

2025年に追加された実務資料とは?

厚生労働省の公式ページには、副業内容を会社へ伝える「届出様式例」に加え、「管理モデル導入通知様式例」と「副業・兼業に関する合意書様式例」が掲載されています。

管理モデル導入通知様式は、本業の会社が簡便な労働時間管理の方法を採用する際、労働者や副業先へ取り扱いを伝えるための参考資料です。

合意書様式は、勤務時間の報告方法や副業に関する取り扱いを労使間で確認する場合に使う参考資料です。会社員が自分の判断だけで提出し、制度を開始できる書類ではありません。

ここから見えるのは、国の政策が「副業を認めるかどうか」という入口だけでなく、認めた副業をどう申告し、どう管理するかという段階へ進んでいることです。

会社員側にも、仕事内容や契約形態、勤務時間を説明する力が求められています。

24社の事例集から50代が学べること

2025年3月31日発行の「副業・兼業の事例集~24社から学ぶ~」は、2024年度に行われた企業と労働者へのインタビューをもとに作成されています。

青山商事株式会社、アルプスアルパイン株式会社、オムロン株式会社、カルビー株式会社、日本郵政株式会社、パナソニック ホールディングス株式会社など、企業規模や業種の異なる取り組みが紹介されました。

50代に特に参考になるのが、アルプスアルパイン株式会社の事例です。

同社の制度は年齢や職種による制限がなく、60歳以上の再雇用者も利用できます。副業開始の1か月前までに、勤務先、時間、頻度、雇用形態、目的などを申請する運用です。

事例集では、定年を見据えた年代の従業員にとって、外部の仕事に触れることがセカンドキャリアの形成につながっているとの見方が示されています。

64~65歳で専門性を持つ従業員が副業を行いやすい傾向や、再雇用終了後の就労を見据えて試行的に働き始めた例も紹介されました。

ユニ・チャーム株式会社の事例では、社外副業の利用者は30~50代が中心で、50代の従業員から「現役のうちに副業を試したい」という声が出ていると報告されています。

同社の50代管理職の事例では、社外での業務を通じて経験を蓄積するとともに、期間限定の仕事で業務範囲を明確に区切る力が身についたと紹介されています。

この2社の例から読み取れるのは、50代の副業が単なる収入追加だけではないことです。

定年前に外部で通用する経験を試し、自分の専門性を確認する場所としても、副業は使われ始めています。


正社員が副業を始める前に何を確認すべき?

正社員が最初に確認するのは、副業サイトの登録方法ではありません。

就業規則、契約形態、勤務時間、秘密保持、税金の5点です。

就業規則と届出の期限を確認する

厚生労働省のモデル就業規則では、労働者が勤務時間外に他社の業務へ従事できることを示す一方、会社が副業を禁止・制限できる事情として、次の4点を挙げています。

  • 本業への労務提供に支障がある
  • 企業秘密が漏れる
  • 会社の名誉や信用を損なう
  • 競業によって会社の利益を害する

また、企業が副業内容を把握するため、事前届出制を設けることも想定されています。

就業規則では「副業」という言葉だけでなく、次の項目も探してください。

  • 兼業
  • 服務規律
  • 秘密保持
  • 競業避止
  • 他社業務への従事
  • 届出・許可
  • 懲戒事由

確認するときは、届出が必要かどうかだけでなく、いつまでに、誰へ、何を提出するかまで見ます。

厚生労働省の事例集でも、副業開始の1か月前までの申請を求める会社や、毎月の実績時間と翌月の予定時間を報告させる会社が紹介されています。

案件へ応募してから「会社の承認に1か月必要だった」と気づくと、依頼者にも迷惑をかけてしまいます。

案件探しより先に社内手続きの所要日数を確認することが、遠回りに見えて最短ルートです。

50代の役職者は競業と秘密保持を広く考える

50代では、管理職や専門職として顧客情報、価格、仕入れ条件、採用計画、新商品、経営数値などへ触れている人もいます。

注意したいのは、勤務先と完全に同じ商品を売る仕事だけが競業とは限らないことです。

たとえば、本業で法人営業を担当している人が、同じ顧客層を対象にする別会社の営業支援を行えば、顧客や提案方法が重なる可能性があります。

人事担当者が求人原稿の作成を副業にする場合も、本業の採用資料や応募者データを転用してはいけません。

年齢が問題なのではなく、社内で任されている役割が広いほど、扱う情報も増えやすい点がポイントです。

「資料をそのまま使わなければよい」だけでなく、本業でしか知り得なかった判断基準を副業へ持ち込んでいないかまで確認しましょう。

雇用型と業務委託型を区別する

副業の契約形態によって、会社が確認する内容や法律上の扱いは変わります。

副業の形 主な例 報酬 特に確認すること
雇用型 アルバイト、パート、別会社の社員 勤務時間などに応じた賃金 労働時間の通算、勤務日、社会保険等の取り扱い
業務委託型 ライティング、資料作成、オンライン事務 業務や成果物に対する報酬 業務範囲、納期、修正、著作権、経費
自営型 ブログ、作品販売、講座運営 販売や広告等による収入 初期費用、販売条件、収益化までの期間
経験提供型 講師、相談、業務改善支援 知識や作業への報酬 責任範囲、秘密保持、競業、実績公開

業務委託と書かれていても、実際には勤務時間や場所を細かく指定され、指揮命令を受けて働く場合があります。

契約書の名称だけで判断せず、実際の働き方と条件を確認してください。

※画像はAIによるイメージ

雇用型副業の労働時間はどう通算される?

本業と副業先の両方で雇用され、どちらも労働基準法の労働時間規制が適用される場合は、原則として労働時間を通算します。

一方、フリーランスや個人事業主として働く時間は、雇用契約同士と同じ労働時間通算の対象にはなりません。ただし、健康への負担が消えるわけではないため、本人と勤務先による時間管理は必要です。

原則的な通算では、次の順番で計算します。

  • 所定労働時間は、労働契約を先に結んだ会社から後に結んだ会社の順
  • 所定外労働時間は、実際に働いた順

たとえば、本業の会社Aと先に契約し、1日8時間の所定労働を行う人が、その後に契約した副業先Bで同じ日に2時間の所定労働をするケースを考えます。

単純な通常勤務を前提にすると、Aの8時間を先に通算した時点で1日の法定労働時間へ達するため、後から通算するBの2時間は法定外労働に該当する考え方になります。

一方、本業が5時間、副業が2時間で、その後にどちらかの会社で所定外労働が発生する場合は、所定外労働を実際に行った順番によって、法定外労働に当たる会社が変わることがあります。

厚生労働省の資料でも、所定労働時間と所定外労働時間を分け、契約の順番と実際の労働順によって判断する例が示されています。

そのため、「本業の後に働いた時間は、すべて副業先の残業になる」と本人だけで決めるのは適切ではありません。

雇用型の副業では、次の情報を本業と副業先の担当者へ正確に伝えましょう。

  • 契約を締結した日
  • 所定労働日と勤務時間
  • 始業・終業時刻
  • 所定外労働の見込み
  • 実際に働いた時間
  • 勤務時間を報告する方法

業務委託の税金は「所得」で確認する

本業の給与を1か所から受け、年末調整が済んでいる会社員が、業務委託などによる給与・退職所得以外の所得を得た場合、その所得の合計額が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。

ここでいう所得は、基本的に収入から必要経費を差し引いた金額です。

報酬が25万円、仕事に直接必要だった経費が7万円なら、単純計算した所得は18万円になります。

ただし、どの支出を必要経費にできるかは、仕事内容との関係や使用実態によって判断されます。

売上や報酬だけで判断せず、次の記録を残してください。

  • 報酬額と入金日
  • 仕事内容
  • サービス利用手数料
  • 仕事に使った支出
  • 領収書や請求書
  • 契約書や発注内容
  • 取引先との連絡記録

副業も給与の場合は別に判定する

副業先から給与を受け取る場合は、「業務委託の利益が20万円を超えたか」という判定ではありません。

給与を2か所以上から受けている場合、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職所得以外の所得金額との合計が20万円を超えるかなど、国税庁が示す条件に沿って確認します。

所得控除や給与収入の合計額による例外もあるため、業務委託型と同じ説明へまとめないことが大切です。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。

住民税には所得税と同じ申告省略の範囲がないと案内している自治体もあるため、居住地の市区町村へ確認してください。所得税の確定申告をした場合は、通常、その情報が自治体へ連携されます。

「副業は20万円まで申告不要」と一文だけで覚えると、契約形態や税目の違いを見落とします。

業務委託か給与か、所得税か住民税かを分けて確認するのが正しい順序です。


50代会社員はどの副業を選べばよい?

50代の副業は、人気ランキングよりも、経験との接続、使える時間、体力、責任範囲で選びます。

新しいスキルを一から積み上げるより、今までの経験をオンラインで届けるための道具を一つ足すほうが、学習範囲を絞りやすくなります。

副業は4つの軸で比較する

候補を見つけたら、次の4項目を5段階で評価してみてください。

  • 本業経験を生かせるか
  • 週に確保できる時間で完了できるか
  • 通勤や身体的な負担が大きくないか
  • 秘密保持や競業の問題を避けやすいか

たとえば、Webライティングは在宅で進めやすい一方、調査や修正に想定以上の時間がかかる場合があります。

短時間アルバイトは報酬と勤務時間の関係が分かりやすい一方、移動や固定シフトが本業、介護、通院などの予定と重なる可能性があります。

オンライン事務は過去の事務経験を生かしやすい一方、平日日中の連絡を求められる案件もあります。

仕事内容の名称だけでなく、実際に何時に、何を、どこまで行うのかを見て判断しましょう。

本業経験を依頼できる作業へ翻訳する

「営業経験25年」「管理職経験あり」と書くだけでは、依頼者は何を頼めるのか分かりません。

経験を、納品できるものへ変換します。

  • 営業経験を、提案資料や営業メールの作成へ変える
  • 経理経験を、請求書整理や表計算シートの作成へ変える
  • 人事経験を、求人原稿や面接質問案の作成へ変える
  • 製造経験を、作業手順書や初心者向け記事の作成へ変える
  • 接客経験を、問い合わせ返信文やFAQの作成へ変える
  • 管理職経験を、会議資料や業務フローの整理へ変える
  • 介護業界の経験を、専門用語をかみ砕いた記事作成へ変える
  • IT部門の経験を、操作マニュアルや社内研修資料へ変える

Webスキルは、過去の経験を消して別人になるためのものではありません。

経験という荷物へ、文章、画像、表計算、オンライン連絡という新しい持ち手を付けるイメージです。

具体的なモデルケースで考える

次の例は、進め方を具体化するための架空のモデルケースです。収入や成果を保証するものではありません。

モデルケース1:52歳・法人営業

平日は残業があるため、副業時間は土曜午前の3時間だけに設定します。

最初の商品を「公開情報をもとにした5ページ以内の営業資料作成」に絞り、架空の商品を使った見本を作ります。

プロフィールには、次のように依頼できる作業を明記します。

法人営業で培った情報整理の経験を生かし、営業資料の構成案、比較表、説明文を作成します。勤務先の顧客情報や社内資料は使用せず、依頼者から提供された情報と公開情報だけで制作します。

「営業のことなら何でもできます」と広げるより、ページ数、成果物、情報の扱いを限定したほうが、依頼者と認識を合わせやすくなります。

モデルケース2:57歳・製造部門

現場経験は長くても、Web文章の経験はありません。

最初から一般向けの長い記事を受けるのではなく、「工具の点検手順」「新人が迷いやすい作業用語」など、自分が説明しやすいテーマで1,500字程度の見本を作ります。

ただし、本業の工程、図面、写真、製造条件は使いません。

架空の作業環境を設定し、一般公開されている情報だけで見本を作ることで、経験と秘密保持を切り分けます。

この2例に共通するのは、仕事の範囲を狭くしている点です。

50代の強みは経験の広さですが、副業の入口では広さをそのまま見せるより、依頼者が頼める一つの作業へ切り出すことが重要です。

介護や通院がある場合は固定時間を減らす

親の介護、自分の通院、家族の予定などで、毎週同じ時間を確保しにくい人もいます。

その場合は、決まった時間に待機する仕事より、納期までに自分で時間を配分できる仕事のほうが続けやすいことがあります。

ただし、納期型の仕事でも、締め切り直前にまとめて作業すると睡眠を削りやすくなります。

「1週間で納品できるか」ではなく、予定が一つ崩れても納品できるかを基準にしてください。

副業へ使える時間が週5時間あっても、5時間すべてを案件で埋めるのではなく、3時間程度から試す方法があります。

残りは連絡、学習、修正、体調不良への余白です。

怪しい募集は作業と報酬の関係を見る

副業トラブルでは、「短い作業で高額な報酬」「簡単なタスクを行うだけ」などとうたい、後から送金や高額契約を求める例について公的機関が注意を呼びかけています。

契約前には、次の点を確認しましょう。

  • 誰へ何を提供する仕事か
  • 何を完了すると報酬が発生するか
  • 契約相手の名称と連絡先が分かるか
  • 報酬額、支払日、手数料が明記されているか
  • 修正回数と追加作業の扱いが決まっているか
  • 仕事を始める前に高額な支払いを求められないか
  • 個人口座への送金を急かされないか
  • 解約、返金、違約金の条件を確認できるか

教材やソフトを購入する行為そのものが問題なのではありません。

仕事内容が決まっていないのに、高額な契約だけを先に結ばせる仕組みには注意が必要です。

※画像はAIによるイメージ

50代会社員の副業を6手順でどう始める?

50代会社員の副業は、就業規則、時間、目的、見本、応募、振り返りの順に進めます。

最初から毎月の収入額を固定するより、仕事を一巡して、自分に必要な時間と負担を知ることが先です。

1.就業規則と申請期限を確認する

社内イントラネット、就業規則、雇用契約書で、副業に関する規定を探します。

分からない場合は、人事や総務へ、次の条件を整理して相談してください。

  • 予定している仕事内容
  • 雇用型か業務委託型か
  • 副業先の業種
  • 作業する曜日と時間
  • 本業との競合関係
  • 本業の情報や設備を使わないこと
  • 開始予定日

「副業をしたいのですが大丈夫ですか」とだけ聞くより、具体的な条件を示したほうが会社も判断しやすくなります。

確認した日、担当部署、回答の内容はメモに残しましょう。

2.2週間だけ生活時間を記録する

「夜なら時間がある」という感覚だけで案件を選ばず、2週間だけ実際の生活を記録します。

本業、通勤、家事、介護、食事、入浴、睡眠、休息を書き出してください。

副業時間は、空いている時間ではなく、疲労を翌日へ残さず使える時間です。

たとえば、次のように設定します。

  • 火曜と木曜の夜に各30分
  • 土曜午前に2時間
  • 日曜は作業しない
  • 本業の繁忙期は新しい応募を止める
  • 連絡への返信は翌日までと事前に伝える

毎日2時間を確保できなくても、副業は始められます。

30分の日は案件探し、別の日は見本の修正、休日は応募文の作成というように、工程を分ければ進みます。

3.最初の3か月の目的を一つ決める

副業には、収入、学習、独立準備、定年後の仕事づくりなど、複数の目的があります。

すべてを一度に達成しようとすると、案件を選ぶ基準がぶれます。

最初の3か月は、次の中から一つを選びましょう。

  • 自分で契約して報酬を受け取る流れを経験する
  • 第三者へ成果物を一つ納品する
  • 本業経験をサービスとして説明できるようにする
  • Webスキルの基礎を一つ身につける
  • 定年後にも続けたい仕事か試す

月収目標を立てること自体は問題ありません。

ただし、未経験では一つの作業に必要な時間が分からないため、最初から金額だけを追うと、睡眠や休日を差し出す働き方になりやすくなります。

4.仕事に近い小さな見本を作る

未経験者は、実績がないから応募できないと考えがちです。

実績はなくても、依頼される仕事に近い見本は作れます。

  • ライティングなら、得意分野の記事を1本
  • 資料作成なら、公開情報を使った3~5ページの資料
  • オンライン事務なら、架空データを整理した表計算シート
  • 画像作成なら、架空店舗の告知画像
  • Web制作なら、架空サービスの小さな紹介ページ
  • マニュアル作成なら、一般的な操作を説明する手順書

見本の目的は、プロと同じ完成度を証明することではありません。

依頼内容を理解し、どのような成果物を作れるかを相手へ伝えることです。

本業の資料、顧客データ、社内画面、ロゴ、写真を流用せず、架空の設定や公開情報で一から制作してください。

5.小さく範囲が明確な案件へ応募する

最初の案件では、報酬額の高さより、仕事内容の明確さを優先します。

応募前に確認する項目は次のとおりです。

  • 作業内容
  • 納品物の形式と分量
  • 納期
  • 報酬と支払時期
  • 修正回数
  • 連絡方法と時間帯
  • 著作権の扱い
  • 実績公開の可否
  • 契約外作業が発生した場合の扱い

「初心者歓迎」という言葉だけでは、条件が良い案件かどうかは分かりません。

完成品に近い無料テストを求める募集、修正回数が決まっていない募集、仕事内容より外部サービスへの登録を優先させる募集は、契約条件を慎重に確認してください。

応募文では、できることと対応できないことの両方を書きます。

たとえば、「平日日中の即時返信はできませんが、24時間以内に返信します」と明記することは、弱さではありません。

副業を長く続けるための境界線です。

6.報酬だけでなく負担を振り返る

最初の仕事が終わったら、報酬額だけで成功と失敗を決めないでください。

次の項目を記録します。

  • 実際にかかった時間
  • 調査に時間がかかった部分
  • 修正の回数と内容
  • 依頼者との連絡で迷ったこと
  • 本業や睡眠への影響
  • 介護や家庭との両立
  • 次回は短縮できそうな作業
  • 同じ仕事をもう一度受けたいか

初回は、ファイル名、保存場所、請求書、連絡文を考えるだけでも時間がかかります。

一度遅かったからといって、向いていないとは限りません。

同じ作業を繰り返せば速くなる部分と、繰り返しても負担が大きい部分を分けてください。

速くなる部分は手順書やテンプレートへ変え、負担が大きい部分は案件選びの条件として外していきます。


50代・正社員の副業を今後どう考える?

ここからは、公開されている制度資料と、未経験からWebスキル系の仕事を学んできた筆者の経験を踏まえた私見です。

2025年の資料整備が示しているのは、副業が「会社へ隠して行う個人的な活動」ではなく、仕事内容、時間、健康、競業を説明しながら管理する働き方になりつつあることです。

厚生労働省の24社の事例集でも、制度を用意するだけでなく、勤務時間の記録、上司との面談、事例の社内共有、健康状態の確認などが重視されています。

今後、副業人材に求められるのは「何でもできます」という広さだけではないと考えます。

限られた時間で何を完了できるか、どの情報を使わないか、どこから追加作業になるかを説明する力が、信用につながります。

50代の強みは経験の量より境界線を引けること

50代は多くの経験を持っていますが、経験年数だけで案件を受けられるとは限りません。

依頼者が知りたいのは、経験の長さよりも「自分の依頼にどう使えるのか」です。

営業経験なら、提案書の構成、ヒアリング項目、顧客向け説明文に変換する。

管理職経験なら、会議の進め方、業務手順、引き継ぎ資料に変換する。

さらに、「顧客への直接連絡は行わない」「5ページを超える資料は別途相談」「勤務先と競合する案件は受けない」と境界線を示します。

私は、この線引きこそ50代の大きな強みになり得ると考えています。

仕事の難しさや責任を知っているからこそ、安易に引き受けず、必要な確認を先にできます。

収入より先に外部で通じる形を一つ作る

50代で副業を始める目的には、定年後への準備も含まれるでしょう。

ただし、初月から老後の収入計画全体を副業で支えようとすると、一つの応募が重くなります。

まずは、自分の経験が外部でどのような作業として求められるかを一つ確認します。

記事を1本作る、資料を1件納品する、オンラインで一つの業務を完了する。

この小さな経験が、次に学ぶべきものを教えてくれます。

筆者自身も、デザインやパソコン仕事を未経験から学ぶ中で、分からないことを一度に片づけようとして手が止まった経験があります。

再開しやすかったのは、「今日は見出しだけ」「今日は画像を1枚だけ」と、作業を小さく分けたときでした。

完璧じゃなくていい。まず小さく始めて、続けながら整えればいい。

ただし、後から直せるものと、先に確認すべきものは分けなければなりません。

プロフィールの言葉や見本の装飾は、後から直せます。

就業規則、競業、秘密保持、契約条件、健康、税金は、仕事を受ける前に確認する部分です。


まとめ

50代会社員の副業は、就業規則を確認し、本業経験を具体的な作業へ変え、生活を圧迫しない案件から始めます。

2025年には、厚生労働省の解説パンフレットが改定され、管理モデル導入通知や労使間の合意書の様式例、24社の事例集などが整備されました。

ただし、ガイドライン本体の最新改定は2022年7月であり、2025年にすべての会社員が申告なしで副業できる制度へ変わったわけではありません。

雇用型副業では労働時間の通算を確認し、業務委託型では契約範囲や税金を確認します。

50代は、若い世代と同じ方法で一から競争する必要はありません。

営業、経理、人事、製造、接客、管理などの経験を、文章、資料、手順書、オンライン事務といった依頼可能な形へ変えることができます。

就業規則、時間、目的、見本、応募、振り返りの6手順を一巡し、自分の生活と体力に合う形へ少しずつ整えていきましょう。

本記事は、厚生労働省「副業・兼業」「副業・兼業の促進に関するガイドライン」「副業・兼業の事例集~24社から学ぶ~」、国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」などの一次資料をもとに、2026年7月24日時点で確認した内容です。個別の労務・税務上の判断は、勤務先、労働局、税務署、自治体、社会保険労務士、税理士などへ確認してください。


よくある質問

副業を会社に知られずに始められますか?

知られないことを前提に副業を進める方法はおすすめできません。

勤務先の届出制度、雇用型副業の労働時間報告、税務手続きなどを通じて副業の存在が分かる可能性があります。まず就業規則を確認し、必要な手続きを行ってください。

副業を始めたら開業届が必要ですか?

副業で一度報酬を受け取っただけで、すべての人が同じ手続きを行うとは限りません。

継続して事業として仕事を行う場合には、所得区分や税務上の届出が関係します。仕事内容、継続性、収入の状況によって判断が異なるため、国税庁の案内や税務署で確認しましょう。

副業禁止の会社で始めると解雇されますか?

副業規程への違反が、直ちに同じ処分へ結びつくとは限りません。

本業への支障、長時間労働、秘密漏えい、競業、会社の信用への影響、届出違反の内容など、実質的な事情によって判断されます。厚生労働省のモデル就業規則の解説でも、形式的な規定違反だけでなく、職場秩序や本業への影響を踏まえて慎重に判断する考え方が示されています。

執筆:桜庭 あかり(未経験からのWebスキル副業ガイド)


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— 桜庭 あかり

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