在宅副業の始め方|パソコン1台で準備する環境と仕事の探し方

在宅副業の契約書と報酬の支払期日を自宅のデスクで確認する女性 未分類

公正取引委員会は2026年6月18日、条件明示不足などを理由にエス・ピー・シーへフリーランス法上の勧告を行いました。

対象は条件明示が不十分だった84名、支払いが遅れた31名、振込手数料を差し引かれた36名です。在宅副業を始める人は、仕事内容・報酬・支払期日を作業前に文章で残す必要があります。

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エス・ピー・シーへの勧告で何があった?

今回の勧告では、取引条件の明示不足、報酬の支払遅延、振込手数料の控除という三つの問題が指摘されました。

公正取引委員会は2026年6月18日、愛媛県松山市に本店を置く株式会社エス・ピー・シーに対し、フリーランス・事業者間取引適正化等法第8条に基づく勧告を行いました。

同社は出版業や広告制作業などを行う企業です。雑誌、パンフレット、ウェブサイトなどに使う原稿、デザイン、写真データの作成に加え、イベントの司会などをフリーランスへ委託していました。

Webライター、デザイナー、カメラマン、司会者など、在宅副業や個人受注と重なる仕事が含まれています。

「一部の特殊な業界で起きた話」ではなく、クリエイティブ系の副業をする人が日常的に出会う発注に近い点が、今回のニュースで注目したいところです。

84名に取引条件を適切に明示していなかった

エス・ピー・シーは2024年11月1日から2025年7月31日までの間、フリーランス84名へ業務を委託した際、法律で定められた明示事項の全部または一部を、直ちに書面やメールなどで示していませんでした。

フリーランスへ業務を委託するときは、口頭で説明するだけでは足りません。

メール、チャット、契約管理システムなど、後から内容を確認できる形で取引条件を明示することが求められます。

仕事の説明を受けたとしても、報酬や支払期日が記録されていなければ、納品後に「聞いていた条件と違う」という認識のずれが起こりやすくなります。

契約条件は仕事を縛る鎖ではありません。受注者と発注者が同じ地図を持つための目印です。

31名への報酬が支払期日を過ぎていた

同社はフリーランス31名について、成果物などを受け取ったにもかかわらず、あらかじめ決めた支払期日までに報酬を支払っていませんでした。

公正取引委員会の公表資料によると、支払いが遅れた理由には、フリーランスからの請求書提出が遅れたことと、同社内の事務処理が遅れたことが含まれています。

ここで大切なのは、請求書の提出日と法律上の支払期日の起算点は、同じとは限らないことです。

フリーランス法の対象となる取引では、原則として、発注者は成果物を受け取った日や役務の提供を受けた日から60日以内のできる限り短い期間に支払期日を定め、その期日までに報酬を支払います。

請求書が届いていないことだけを理由に、決められた支払期日を過ぎてよいわけではありません。公正取引委員会も、請求書が提出されていなくても、あらかじめ定めた期日までに支払うよう案内しています。

一方で、受注者が請求書を遅らせても問題がないという意味ではありません。

契約で請求書の提出を求められている場合は期限内に提出し、送信日時や提出先を残しておくことが、確認の行き違いを減らします。

36名の報酬から振込手数料を控除していた

エス・ピー・シーはフリーランス36名への振り込みに際し、振込手数料を受注者負担とすることを書面や電磁的方法で合意しないまま、報酬から計5万5,770円を差し引いていました。

同社は公正取引委員会の勧告前である2026年6月4日に、控除した金額を対象者へ支払っています。

ここは、発注された時期を分けて理解する必要があります。

今回問題とされた取引期間は、主に2024年11月1日から2025年7月31日までです。この期間については、振込手数料を受注者負担とする書面や電磁的方法による合意がなかった点が指摘されました。

さらに、2026年1月1日以降の発注分では、フリーランスとの合意があるかどうかにかかわらず、振込手数料を報酬から差し引く行為は報酬の減額に該当します。

契約画面に「振込手数料は受注者負担」と書かれていても、その記載だけで現在の扱いを判断しないことが大切です。

発注日がいつか、フリーランス法の対象取引か、差し引かれた金額が何の費用かを確認しましょう。

公正取引委員会は何を勧告した?

公正取引委員会は同社に対し、単に「今後は気をつけるように」と求めたわけではありません。

勧告書では、主に次の対応が求められています。

  • 違反した事実と今後の適切な運用を取締役会の決議で確認する
  • 同種・類似の業務委託でも問題がなかったかを調査する
  • 問題が見つかった場合は必要な是正措置を講じる
  • 役員や従業員にフリーランス法の研修を行う
  • 勧告内容と実施した措置を社内へ周知する
  • 取引先のフリーランスへ勧告内容と対応を通知する
  • 実施した措置を公正取引委員会へ報告する

つまり、個別の未払いを直すだけでなく、契約、発注、請求、支払いを管理する会社全体の仕組みまで見直す内容です。

筆者としては、この点に今回の勧告の重さが表れていると考えます。

問題が担当者一人の確認不足に見えても、同じ仕組みを使っている限り、別の取引でも繰り返される可能性があります。そのため、再発防止には「注意する人を増やす」だけでなく、「抜けを検知できる流れを作る」ことが必要です。

エス・ピー・シーはどう説明している?

エス・ピー・シーは2026年6月18日、公式サイトに謝罪と再発防止策を掲載しました。

同社は勧告を厳粛かつ真摯に受け止めるとし、対象となったフリーランスや取引先などへ謝罪しています。

公表された対応には、次の内容が含まれています。

  • フリーランス法に対応した業務委託契約書への見直し
  • 契約、発注、請求、支払いを一元管理するシステムの導入
  • 振込手数料を自動控除しない支払システムへの変更
  • 請求書の受領窓口を経理部門へ一元化
  • 役員や従業員へのコンプライアンス研修
  • 公正取引コンプライアンス委員会の設置
  • 再発防止策の定期的なモニタリング

同社は、36名に対する振込手数料相当額5万5,770円を全額返還し、公表時点で報酬の支払遅延はないとも説明しています。

会社側の説明も合わせて読むと、問題の中心が制作現場だけでなく、契約から経理まで情報をつなぐ管理体制にあったことが見えてきます。

※画像はAIによるイメージ

2025年度のフリーランス法運用状況は?

2025年度は勧告10件、指導1,542件で、合計1,552件の事件に措置が講じられました。

公正取引委員会が2026年6月10日に公表した資料によると、2025年度に新たに着手した違反被疑事件は1,626件、処理した事件は1,597件でした。

処理事件のうち、勧告または指導の措置が行われた事件は1,552件です。内訳は勧告10件、指導1,542件でした。

主な公式数値を整理すると、次のようになります。

確認項目 2025年度の数値
違反の申出 604件
新規に着手した事件 1,626件
処理した事件 1,597件
勧告・指導を行った事件 1,552件
勧告 10件
指導 1,542件
違反行為の類型別件数 2,727件
原状回復された金額 総額1,734万円

ここで、1,552件と2,727件を同じ分母として扱わないことが重要です。

1,552件は、勧告または指導を受けた「事件の数」です。

一方、2,727件は、各事件で確認された「違反行為の類型を数えた件数」です。一つの事件に条件明示不足と支払遅延があれば、複数の違反類型として集計されます。

支払いと条件明示で82.9%を占めた

違反行為の類型別件数2,727件のうち、最も多かったのは期日における報酬支払義務違反の1,135件で、全体の41.6%でした。

次に多かったのが取引条件の明示義務違反の1,126件で、41.3%です。

二つを合計すると2,261件となり、違反行為の類型別件数2,727件の82.9%を占めます。

これは「措置事件1,552件のうち2,261件」という意味ではありません。

一つの事件で複数の問題が指摘されるため、違反類型の合計は事件数を上回ります。この分母を取り違えると、公式統計の読み方を誤ってしまいます。

数字から見えるのは、フリーランス取引で起きる問題の多くが、特殊で複雑な契約条項だけに集中しているわけではないことです。

「何を頼んだのか」「いつ、いくら支払うのか」という、取引の入口と出口で問題が多く確認されています。

情報通信業575件をどう読む?

措置事件1,552件を業種別に見ると、情報通信業が575件で37.0%と最も多く、学術研究・専門・技術サービス業が326件で21.0%、運輸業・郵便業が135件で8.7%でした。

ただし、情報通信業の575件を「情報通信業の37%が違反した」と読むことはできません。

これは違反率ではなく、措置を受けた事件を業種別に分けた件数です。

業界ごとの発注件数、フリーランスを利用する企業数、調査対象の選び方などが同じではないため、この数字だけで特定業界の企業がほかより悪質だと結論づけることもできません。

公正取引委員会は2025年度、問題事例が多い業種に関係する業務委託事業者3万名を対象に調査を行いました。

さらに、フリーランスとの取引が多い放送業と広告業を集中的に調べ、2025年10月までに128事業者へ是正を求める指導をしています。

調査の重点が置かれた業界では、問題が発見される件数も増えやすくなります。

情報通信業575件という数字は軽視できませんが、「業界全体の違反率」と混同せず、Web制作やコンテンツ制作の発注で契約管理の課題が多数確認された、と読むのが適切でしょう。

フリーランス法はいつから施行された?

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

2023年4月28日に成立し、同年5月12日に公布された後、2024年11月1日に施行されました。

法律上のフリーランスには、従業員を使用せず個人で業務委託を受ける人などが含まれます。

会社員が本業を続けながら、一人でWebライティング、デザイン、動画編集、撮影などを業務委託で受注する場合も、個別の契約形態によっては対象になり得ます。

一方、企業との雇用契約に基づく在宅勤務は、業務委託と同じ扱いではありません。

名称が「副業」「在宅ワーク」となっていても、実際の契約が雇用なのか業務委託なのかで、確認すべき法律やルールが変わります。


在宅副業の始め方7ステップとは?

今回の勧告を実務に置き換えると、在宅副業は契約前から入金確認までを七つに分けて管理すると進めやすくなります。

ここで紹介するのは、パソコンの買い方や職種の選び方ではありません。

「仕事内容が曖昧なまま始めた」「請求書を出したのに支払日が分からない」といった行き違いを減らすための、契約と記録に絞った始め方です。

ステップ1:雇用か業務委託かを確認する

最初に、応募する仕事の契約形態を確認します。

求人ページに「在宅」「リモート」「副業可」と書かれていても、それだけでは雇用か業務委託かは分かりません。

雇用契約では、企業の指揮命令を受けて働き、労働時間や賃金などは労働契約に基づきます。

業務委託では、依頼された成果物や業務を提供し、契約条件、納品、請求、入金などを受注者側でも管理します。

今回のエス・ピー・シーへの勧告は、フリーランスに対する業務委託が対象です。

まず契約の入口を確認しなければ、どのルールを基準に条件を読むべきかが曖昧になります。

ステップ2:作業前に発注内容を文章で受け取る

仕事内容を口頭やオンライン会議だけで説明された場合は、作業開始前に文章で確認します。

メールやチャットでも構いませんが、後から読み返せる形にしましょう。

たとえば、次のように確認できます。

「本日の打ち合わせ内容について、成果物は1,500字程度の記事1本、納期は8月10日、報酬は税込○円、納品形式は共有ドキュメントという認識です。相違があれば作業開始前にご連絡ください」

大切なのは、難しい契約用語を並べることではありません。

自分が何を作り、いつまでに、どの形で渡すのかを一文で説明できる状態にします。

ステップ3:法律上の明示事項を確認する

公正取引委員会は、発注時に明示する取引条件として、次の9項目を案内しています。

  • 給付の内容
  • 報酬の額
  • 支払期日
  • 発注者とフリーランスの名称
  • 業務委託をした日
  • 納品日または役務提供日
  • 納品場所または役務提供場所
  • 検査を行う場合の検査完了日
  • 現金以外で支払う場合に必要な事項

発注者は、フリーランスへ業務を委託した場合、これらを直ちに書面または電磁的方法で明示する必要があります。口頭だけの明示は認められていません。

9項目を法律の暗記問題だと考えると、少し重たく感じるかもしれません。

けれど実務では、これは「一件の仕事を完了させるために必要な最低限のデータ」と考えられます。

誰が、何を、いつ頼み、どこへ納品し、いくらをいつ支払うのか。

この情報がそろえば、仕事の入口から出口までを一本の線で追えるようになります。

ステップ4:修正・権利・秘密保持を追加確認する

法律上の明示事項だけでなく、仕事の内容に応じて追加条件も確認します。

特にWebライティング、デザイン、写真、動画などでは、次の項目が重要です。

  • 修正に対応する回数と範囲
  • 仕様変更があった場合の追加報酬
  • 著作権や利用権の扱い
  • 制作物を実績として公開できるか
  • 提供された資料の保管方法
  • 個人情報や未公開情報の扱い
  • 契約終了後のデータ削除方法
  • キャンセル時の報酬や精算方法

「納得するまで修正」「必要に応じて対応」といった表現だけでは、作業範囲が広がる可能性があります。

当初の指示に合わせるための修正と、新しい要望を加える仕様変更は、分けて確認しましょう。

仕事の範囲に境界線を引くことは、協力を拒むことではありません。

どこまでが当初の報酬に含まれるかを共有することで、追加依頼が発生したときにも落ち着いて相談できます。

ステップ5:納品日と支払期日を別々に記録する

在宅副業では、「制作の時計」と「支払いの時計」を分けて管理するのがおすすめです。

制作の時計には、作業開始日、途中確認日、納品日、修正日を記録します。

支払いの時計には、発注日、成果物の受領日、検収予定日、請求書提出日、支払期日、実際の入金日を記録します。

請求書を送った日だけ記録していると、法律上の起算点となる成果物の受領日や役務提供日が分からなくなることがあります。

反対に、納品日だけ記録しても、契約で決めた支払期日や請求書の提出状況を追えません。

二つの時計を分けると、「納品は終わったが検収連絡がない」「請求書は送ったが入金予定日を過ぎた」といった状態に気づきやすくなります。

ステップ6:納品と追加依頼の記録を残す

納品するときは、成果物だけを送るのではなく、何を納品したのかをメッセージに残します。

  • 納品したファイル名
  • 納品した日時
  • ファイルの保存場所
  • 対応した作業範囲
  • 発注者に確認してほしい事項
  • 検収や返信の予定
  • 修正がある場合の連絡方法

チャットツールで納品する場合も、ファイルを添付するだけで終わらせず、「○月○日のご依頼分を納品します」と書いておきましょう。

修正依頼を受けたときは、当初の指示に含まれる修正か、新しい追加依頼かを確認します。

追加作業と考えられる場合は、着手前に報酬と新しい納期を文章で合意します。

ステップ7:入金額と控除項目を確認する

入金日には、口座へお金が入ったかだけでなく、契約した報酬額と一致しているかを確認します。

プラットフォームの利用手数料、源泉徴収、消費税、振込手数料など、契約や取引形態によって表示される項目は異なります。

差額があった場合は、何が差し引かれたのかを確認してください。

特に2026年1月1日以降の発注分については、フリーランスの同意があっても、発注者が振込手数料を報酬から差し引く行為は報酬の減額に該当します。

疑問があるときは、いきなり相手を責めるのではなく、契約金額、請求額、入金額を並べて事実を確認します。

「○月○日発注分について、契約上の報酬は○円、今回の入金額は○円でした。差額の内訳をご確認いただけますでしょうか」と伝えると、論点を整理しやすくなります。

※画像はAIによるイメージ

請求書が遅れても支払期日は延びないのはなぜ?

フリーランス法では、報酬の支払いを発注者の社内処理だけに左右されないよう、成果物の受領日などを基準に期日を定めます。

発注者側では、請求書を受け取ってから経理処理を始める運用が一般的な場合もあります。

しかし、「請求書が来た月の翌月末払い」のように請求書の到着だけを基準にすると、提出や社内処理が遅れるほど、支払いが後ろへ動いてしまいます。

フリーランス法が原則として成果物の受領日や役務提供日から60日以内に支払期日を定めるのは、受注者が報酬を受け取る時期を不当に遅らせないためです。

公正取引委員会のQ&Aでも、この規定はフリーランスと発注者の交渉力などの差によって、支払期日が不当に遅く設定されることを防ぎ、フリーランスの利益を守るために設けられたと説明されています。

発注者の事務処理の遅れを受注者へ移さない

今回の勧告で、エス・ピー・シー側の事務処理の遅れも支払遅延の理由として挙げられた点は、実務上とても重要です。

担当部署から経理への連絡が遅れた、承認者が不在だった、システムへの登録が漏れたといった事情は、発注者側の内部事情です。

その遅れを理由に、フリーランスへの支払期日を後ろへ動かせるわけではありません。

これは発注者に厳しいだけのルールではなく、会社側にとっても支払管理を属人化させないきっかけになります。

実際にエス・ピー・シーは、契約から支払いまでを一元管理するシステム、請求書窓口の経理部門への一元化、定期的なモニタリングなどを再発防止策として公表しました。

受注者も請求書を早めに提出する

法律上の支払義務があるとしても、受注者が請求書提出の約束を守らなくてよいわけではありません。

請求書の提出が必要な契約では、締切日、提出形式、送付先を事前に確認しましょう。

請求書を送った後は、次の情報を残します。

  • 送信日時
  • 送信先
  • 請求書のファイル名
  • 対象案件
  • 請求金額
  • 支払期日
  • 受領確認の有無

請求書を期限内に出すことと、発注者が支払期日を守ることは、どちらか一方だけが担うものではありません。

お互いの作業を記録に残すことで、問題が起きたときに感情ではなく事実を基準に話し合えます。


私見:勧告10件と指導1,542件から何を読む?

筆者は、勧告より指導が圧倒的に多い数字から、違反を早い段階で直す運用が広く行われている可能性を読み取ります。

2025年度の勧告は10件、指導は1,542件でした。

勧告は公正取引委員会が法律に基づいて改善を求める正式な措置であり、個別企業名と事実関係が公表される例があります。

一方、指導には違反のおそれがある行為に対するものも含まれます。したがって、1,542件のすべてを、勧告事件と同じ程度の違反が確定した事例として扱うことはできません。

それでも、指導が1,542件に達した事実は軽くありません。

筆者としては、フリーランス法の施行後初めての通年に近い運用のなかで、多数の取引について、正式な勧告へ至る前に是正を促す必要があったと考えられます。

「勧告が10件しかないから問題は少ない」と読むのではなく、取引条件や支払いの基本部分に、改善を要する運用が広く残っていたと見るほうが自然です。

法律を知らなかっただけでは終わらない

取引条件の明示や支払期日の管理は、契約書を作る法務部だけの仕事ではありません。

現場担当者がチャットで発注し、別の担当者が納品を受け取り、経理担当者が請求書を処理する場合、情報が部署をまたいで移動します。

どこか一か所で情報が止まると、条件の明示漏れや支払いの遅れにつながります。

エス・ピー・シーの公表した再発防止策でも、契約書の変更だけでなく、管理システム、請求書窓口、社内研修、委員会、モニタリングまで含まれていました。

この対応からも、フリーランス法への対応は、契約書のひな型を一度作れば終わるものではないと分かります。

発注のたびに正しい情報を渡し、納品後に期日を追い、実際の入金額まで確認する運用が必要です。

受注者が持つべきなのは「疑う力」より「照合する力」

在宅副業を始めると、「怪しい会社を見抜かなければ」と身構えてしまうことがあります。

もちろん、運営者情報や契約条件を確認することは大切です。

ただ、今回の事例が示すのは、知名度のある会社や実在する企業との取引でも、事務手続きや社内管理の不備が起こり得るということです。

そのため、相手を最初から疑い続けるより、募集内容、発注内容、請求額、入金額を順番に照合できる状態を作るほうが実用的です。

会社名が知られているから条件確認を省略する、反対に小さな会社だからすべて危険だと決めつける。この二つは、どちらも正確な判断につながりません。

判断の基準を相手の印象ではなく、文章で示された条件に置くことが大切です。

最初の一件は管理できる大きさにする

私は未経験からWebスキルを学び、ライティングやデザインなどの副業の流れを経験してきました。

ただし、本記事では公開していない受注件数や収入額を、専門性の根拠として持ち出してはいません。

法律ニュースについては、個人の体験だけで判断せず、公正取引委員会と当事者企業が公表した一次資料を照らし合わせています。

そのうえで感じるのは、最初の一件を小さくする意味は、失敗を避けることだけではないということです。

発注、確認、制作、納品、請求、入金までを自分で追える規模にすると、契約のどこで迷ったかが見えるようになります。

最初から大きな案件を抱えると、制作だけで手いっぱいになり、請求書や支払期日の確認が後回しになりがちです


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— 桜庭 あかり

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